[レポート]第5回グリーン・マウンテン・カレッジ「私はどこにいるの? 天空編」

12月16日、奈良公園 浮雲園地にて行った5回目のグリーン・マウンテン・カレッジ。
テーマは「わたしはどこにいるの?」。前回の地上編に続き、今回は天空編です。
ゲストは、お二人とも宇宙に深い関わりがある、美術家の松井紫朗さんと、宇宙物理学者の磯部洋明さんです。



宇宙からみるわたし

最初は磯部さんの授業から。

宇宙から見て今私たちはどこにいるのでしょうか。
まずは、オンライン上で宇宙の姿が見られるウェブサイトで“宇宙の果て”までバーチャル宇宙旅行をしました。この画像は現在過去未来の宇宙の姿を見られるのですが、宇宙は膨張しているので、星座の形も5万~10万年もすると形が変わってしまうそうです。宇宙の寿命は173億年、誕生したばかりの138億年前の宇宙は手のひらに乗るくらいの大きさだとか。

広大な宇宙の中で、地球は、始め水素とヘリウムだけの世界から混じり物が集まって星が誕生し、色々な生命を育んできました。地球上の生命の祖先は全て同じです。では、キノコとキャベツはどちらが人間に近いでしょう? DNAの共通部分がキノコの方が多いので、キノコの方が人間に近いそうです。人間を形作る物質が揃ったとしても人間が出来上がるわけではないそうで、磯部さんのお話を聞けば聞くほど生命の不思議さに驚きます。

以前、古事記と宇宙をテーマに講演されたことがあるという磯部さん。古事記などの神話も、科学も、私たちがなぜここにいるのかを知りたいがために紡ぐ物語だと磯部さんは言います。

宇宙が大好きな男の子からの色々な質問に、磯部さんは一つ一つ丁寧に答えられていました。



「手に取る宇宙―Message in a Bottle」

続いて、松井紫朗さんに、2014年から展開している「手に取る宇宙―Message in a Bottle」というプロジェクトについてお話いただきました。

このプロジェクトでは、NASAとJAXAの協力のもと、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士が、船外で1本のガラスボトルの蓋を開け「宇宙」を詰めて持ち帰るミッションが行われました。ミッションは2回目に成功、松井さんは、そのボトルを様々な国、様々な人に手に取ってもらい、感じたことを書き留めてもらうことを続けてこられました。

実際に体験してみようと、バルーン型のテントに皆で移動します。中央のテーブルに一人ひとり順番に座り、円筒形のガラスボトルを両手に乗せ、ボトルの中の宇宙を手にひらに感じます。その感じたことを紙に書くと、そのメモはすぐにデータに取り込まれ、バルーンの内側に映し出された宇宙の映像の中に飛んでいきました。

メッセージは後日ウェブサイトに公開、蓄積され未来の人類に向けたメッセージとして伝えられていきます。

実際のボトルを手にした後のテントの中は不思議な高揚感に包まれていました。終了後は、参加者のお一人の有志で珈琲がふるまわれ、はるかかなたの宇宙と自分やまわりの世界について思いを馳せる時間となりました。

(撮影:衣笠名津美)