キムスージャ「 Meta-Painting 」

“Kimsooja, To Breathe-Mokum, 2025-2026”, installation view of “Dimensions of a Needle”, MOCA Toronto,2026. Courtesy of Axel Vervoordt Gallery, MOCA Toronto and Studio Kimsooja. Photo by LF Documentation

 

STATEMENT

2016年の元興寺での展示から10年を経て、この11月、私は新たなインスタレーションを携えて奈良に戻ります。

私はこれまで、奈良の長い歴史や仏教の伝統と、自身の表現活動との間に深い共鳴を感じてきました。東大寺での制作にあたっては、まずその場の空気に耳を傾け、静寂や周囲の気配を感じ取ることから始めたいと考えています。空間に一方的にアイデアを押し付けるのではなく、観察し、出会い、呼応していくプロセスを通じて作品を形作りたいと考えています。今回は日本の歴史で培われた法則に従って作られた観音院の空間で空間や時間を超える深淵を表現したいと考えました。

奈良時代は過去の限られた時間ですが、それは後の移ろいゆく長い時間の中に確実に組み込まれています。止まった時間と永続的に動くものの関係性を探りつつ、静かに思索に耽ることのできる空間を創り出したいと願っています。

 

This November, I return to Nara with a new installation at Todaiji Temple, ten years after my work at Gangoji Temple in 2016. I have felt a deep resonance between Nara’s long history, Buddhist tradition, and my practice. At Todaiji, I want to begin by listening to the site—to its atmosphere, its silence, and the presence of its surroundings. Rather than imposing an idea onto the space, I hope to allow the work to develop through a process of observation, encounter, and response. For this installation, situated within a building space constructed centuries ago in accordance with long-standing Japanese traditions, I sought to express a profound depth that transcends space and time—even though the exhibition itself is a fleeting event. While the Nara period represents a specific, finite moment in the past, it is inextricably woven into the long, ever-changing flow of time that followed. My hope is to create a space for quiet contemplation while exploring the relationship between suspended time and that which is in perpetual motion.

 


PROFILE

Courtesy of Studio Kimsooja. Photo by Sangwoon Jung

キムスージャ  Kimsooja

現在ソウルを拠点に活動するキムスージャ(1957年生まれ)は、絵画、布、インスタレーション、パフォーマンス、映像、光、音といった多様な表現形式を用い、媒体や形態の境界を超えて「生きること」と「芸術」の全貌を探求する国際的なコンセプチュアル・アーティストです。1980年代、彼女は絵画の二次元的な構造を考察しつつ新たな表現様式を模索する中で、世界の根源的な秩序である「垂直」と「水平」という二元性を明らかにする一連の「縫う」作品を制作し、芸術的探求の対象を物質的なものから非物質的なものへと広げていきました。こうした非物質的な領域への一貫した追求と、「無為」を美学的な枠組みとして採用する姿勢は、彼女の長年にわたる多様な媒体や手法への取り組みの根底にあり、概念的かつ思索的な美学とヒューマニズムの観点から、芸術と人間性に対する絶え間ない問いかけを推し進める原動力となっています。
彼女は国際的に知られた美術館での数多くの個展をはじめ以下のような場所で空間を使ったインスタレーションを制作しています。トロント現代美術館(カナダ、2026)、和美術館 -HEM (中国、広州、2025)、アムステルダム旧教会(2025)、パリ商業証券取引所(2024)、フンボルト・フォーラム(ドイツ、ベルリン、2024)、シテルネルヌ/フレデリクスバーグ博物館(デンマーク、コペンハーゲン、2023)、サンテティエンヌ・ド・メッツ大聖堂(フランス、メッツ、2022)、ワナス・コンスト(スウェーデン、2020)、ポワティエの個展 (ポワティエ、フランス、2019)、ピーボディ・エセックス美術館(アメリカ、マサチューセッツ、2019)、ヨークシャー彫刻公園および礼拝堂(ヨークシャー、イギリス、2019)、リヒテンシュタイン美術館(リヒテンシュタイン、2017)、ビルバオ・グッゲンハイム美術館(スペイン、ビルバオ、2015)、ポンピドゥー・センター・メス (フランス、メス、2015)、バンクーバー美術館 (バンクーバー、カナダ、2013)、ソフィア王妃美術館クリスタル宮殿 (スペイン、マドリード、2006)、アテネ国立現代美術館 (ギリシア、2005)、デュッセルドルフ美術館 (2004)、MAC リヨン (2003)、PAC ミラン (2003)、ウィーン美術館 (2002)、ベルン美術館 (2001)、MoMA PS1 (2001)。また作家は、南米国際現代美術ビエンナーレ- BienalSUR (アルゼンチン、2021、2023)、Documenta 14 (ドイツ、カッセル、2017)、ヴェネツィア・ビエンナーレ (2013、2007、2005、2001、1999)、光州ビエンナーレ (韓国、光州、2012、2000、1995)、リヨン・ビエンナーレ(フランス、リヨン、2000)、サンパウロ ビエンナーレ (1998)、イスタンブール ビエンナーレ (1997)、マニフェスタ 1 (オランダ、ロッテルダム、1996)など、数多くのビエンナーレやトリエンナーレに参加してきました。また、ロッテルダムのフェニックス移住博物館は近年、彼女の主要作品である『Bottari Truck–Migrateurs』(2007 – 2009)を収蔵しています。

 


会場/東大寺 観音院

[古来]

古来から連綿と続く歴史を重ねて来た東大寺。人々が祈り続けた地の一角に、塔頭・観音院はあります。戦争を挟む昭和の時代、ここに文化サロンが形成されました。上司海雲師を中心に、志賀直哉、會津八一、杉本健吉、須田剋太、入江泰吉など錚々たる文人・芸術家が集い、彼らにより、奈良にまつわる数々の作品が生み出されました。

アクセス

東大寺 観音院(奈良市雑司町)
JR奈良駅・近鉄奈良駅からバス「東大寺大仏殿・春日大社前」下車、徒歩約15分


プログラム詳細

プログラム
キムスージャ「Meta-Painting」
開催日程
2026.11.14(土) - 11.23(月祝)
時間
10:00-17:00
会場
東大寺 観音院
参加方法
申込不要
料金
入場無料
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