顧 剣亨「湖は日々変わる Everyday the Lake Changes」

STATEMENT
松尾山と若草山の上から奈良の街を眺めてみた。
昔、同じ場所に立った人たちは、どんな風景を見ていたのだろう。僕が今眺めている景色と、どれくらい重なっているのだろう。
街を歩いていると、現代的な建物と、それぞれ異なる歴史を持つ建築が、ごく自然に混在している。ヨーロッパを旅したときに見た都市では、古い街並みがあるまとまりとして残され、現在の都市から区別されていることが多かった。けれど奈良では、長い年月を経て残ってきたもののすぐ隣で、新しい建物が生まれ、街は今も姿を変え続けている。
昔の人たちが見ていたものを目の前にしながら、その周囲には彼らが知ることのなかった景色が広がっている。過去に属していると思っていたものも、今、僕の目の前にある。道を歩いていると、何度も別の時代へタイムワープしているような感覚になる。
過去から現在へと積み重なってきた奈良の時間。生成と消失、継承と更新を繰り返しながら、絶えず書き換えられてきた風景をもう一度眺めてみる。
これから先、同じ場所に立つ人たちは何を眺めるのだろう。そこには、今僕の目の前にある奈良が、どれほど残っているのだろう。
PROFILE

顧 剣亨 Kenryou Guこ けんりょう
1994 年京都生まれ、上海育ち。京都芸術大学(元京都造形芸術大学)現代美術・写真コース卒業。大学在学中にフランス・アルル国立高等写真美術学校へ留学。現在、京都を拠点に活動中。
私たちが身を置く空間は、進み続ける波のように、一つの形として確定しきることなく、複数の時間が重なり合いながら変化している。顧は、そのような空間のなかで、変化し続ける時間と空間のあいだに現れる風景を見つめている。そこで捉えられるイメージは、複数の時間が交差しながら生成されつづける状態として示されている。自身の身体的な感覚では捉えきれないモチーフを扱いながら、顧は、そこに含まれる情報量を、時間を編み込むような独自の操作によって整理し直し、要素同士の関係を固定しないまま配置している。そこでは、私たちの知覚や理解もまた、境界的な状態として立ち現れている。
主な個展に「Aperto18: Intervals of the afterimage」金沢21世紀美術館(金沢),「Dimensions Unseen」Yumiko Chiba Associates(東京),「A PART OF THERE IS HERE」YUKIMOMIZUTANI GALLERY(東京), KYOTOGRAPHIE 2019「15972 Sampling」SFERA(京都), 「霧霾| Wu-Mai」ワコールスタディホール京都ギャラリー(京都),「Utopia」元淳風小学校(京都)等。主な受賞歴に「KG + Award 2018」グランプリ,「sanwacompany Art Award / Art in The House2019」グランプリ。
会場/北山十八間戸(きたやまじゅうはちけんこ)
[未来]
未来へと繋ぎたい共生と寛容の思いを、北山十八間戸は思い起こさせます。鎌倉の頃、僧忍性が開き、戦禍による被災と移転を経て、明治初年まで続けられたハンセン病患者の救済と保護。今に残る建物は、わが国の慈善救済事業の先駆けを示した遺跡として国の史跡に指定されています。

アクセス
北山十八間戸(奈良市川上町454)
JR奈良駅・近鉄奈良駅からバス「今在家」または「東之阪町」下車、徒歩約5分
プログラム詳細
- プログラム
- 顧 剣亨「湖は日々変わる Everyday the Lake Changes」
- 開催日程
- 2026.11.7(土) - 11.29(日)
- 時間
- 10:00-17:00
- 会場
- 北山十八間戸
- 参加方法
- 申込不要
- 料金
- 入場無料